脳死。生きるとは、死とはどういうことか

臓器移植法改正でA案が衆院で可決され一部から批判や廃案を求める声があがっているようでして。

医学的な事は詳しくないので脳死という状態がどういう形で定義されているかはわからないが、人間という生き物はなにをもって「生きている」とするのだろうか。心臓が動いていれば生きていると言えるのか。未来永劫、意識を持つ事ができない人間でも「生きている」と言えるのだろうか。

「脳死を一律に人の死としないで」と訴えている人たちにとって「生きる」ことはどういう事なのだろうか。心臓が動いていれば、体温があれば、血液が流れていれば、それは「生きている」と言えるのだろうか。そもそも生命とはそんなに崇高なものではなければ、価値のあるものでもない。犬猫のそれと基本的にはなんらかわりはない。

たとえ自分がお腹を痛めて産んだ子であろうともそれは例外ではなく。思考を持つ事ができない人間はもはや生きているとは言えないと私は思う。少なくとも私は脳が死んだら好きにしてもらいたい。煮るなり焼くなり。少しでも誰かの役にたつのであればよろこんで捧げようではないか。私の身体なんぞでよければ。と、言ってもその状態の時、私はすでにこの世にはいないわけだが。

私は生きているから私であって、死んだら私ではない。それはただの肉塊だ。生前の私と同じ形をしているが同じ形をしているだけの入れ物であって中身が入っていない。言うなればOSの入ってないパソコンのようなもの。電源は入るけどそれはパソコンとは言えない。現代の医療ではその入れ物に同じ命を吹き込む事は当然できようはずがない。

子供を生かそうとする家族の気持ちはわからいでもない。しかしそれはあまりに利己的な考え方だ。意識の消えた人間をただ自己満足のためだけに生かそうとするのは自分の事しか考えていない自己中心的な考え方ではないだろうか。それはまるで私が起動する事のないMacをコレクションとして保管している行為に似ている。あまりに身勝手だ。Macはそれを決して望んではいない。それを望んでいるはずがない。

命はそんなに大層なものではないし、特別なものではない。言葉も発せず、意思も表せず、二度と目覚める事のない人間を生きているとは言えない。

もし脳死状態になって誰かの命を救う事ができるならばきっとすべての人間が自ら命を差し出すだろう。

[ 更新:2009-06-19 01:54:41 ]

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